第14回:資金計画の立て方と融資のリアル
カフェズライフのカフェ開業講座|実践型カフェスクールのブログ
資金計画は“感覚”ではなく“戦略”
カフェ開業を目指す方にとって、「資金計画」は避けては通れない大きなテーマです。
「なんとなく○○万円くらいで…」という感覚では、思わぬ出費や資金ショートに繋がり、開業が延期・断念となるケースもあります。
日本政策金融公庫の調査(2023年度「新規開業実態調査」)によれば、飲食業の 開業時の資金調達額は平均1,180万円であった。資金調達先は、「金融機関等からの借り入れ」が平均768万円(平均調達額に占める割合は65.1%)、「自己資金」が平均280万円 (同23.8%)
本記事では、カフェ開業に必要な費用の内訳、融資の種類、審査に通るためのコツ、そして開業資金のリアルを丁寧に解説します。
カフェ開業に必要な費用の内訳と相場
開業費用は立地や業態、規模、物件の状態によって差がありますが、以下は多くのケースで参考となる項目です。
- 物件取得費:保証金・礼金・仲介手数料等を含み、20〜30坪の物件で150〜350万円程度。
- 内装・工事費:業態によるが、スケルトン物件の場合は300〜600万円かかることが一般的。
- 厨房機器・家具備品:新品・中古によって差があり、100〜250万円前後。
- 運転資金:開業後3ヶ月分の家賃、人件費、光熱費、材料費などを見込み、80〜150万円程度。
これらを合計すると、最小でも600万円台、こだわりの強い店では1,000万円超となることもあります。
なお、東京都中小企業振興公社の「創業支援事例」によると、創業計画の中で「資金準備の甘さ」が事業失敗の原因になった事例が多数報告されています。
融資の選択肢と成功確率を上げるポイント
個人事業主や開業初心者に人気の融資制度が「日本政策金融公庫の創業融資制度」です。金利は年1.5〜2.5%程度、返済期間は5〜7年が目安で、担保や保証人不要のケースもあります。
審査通過率を上げるための準備としては、次の3つが重要です。
- 事業計画書の完成度を高める
市場調査・立地条件・提供メニュー・収支計画・集客戦略など、具体的かつ論理的に記載された事業計画書は信頼性を高めます。 - 自己資金の割合を意識
「自己資金ゼロ」では審査通過は極めて困難。最低でも融資希望額の1/3(例:300万円借りたいなら100万円)を用意しておきましょう。 - 店舗物件や開業スケジュールが具体的である
未定が多いと「本当に始める意思があるのか?」と疑われます。物件選定や契約状況、オープン予定日まで明記しましょう。
開業者から寄せられる“資金の不安”Q&A
Q. 開業前から借金を背負うのが怖い…
A. 不安は当然です。ただし融資は「信用の後押し」。
月商の25〜30%以内に返済が収まる金額であれば、健全な資金繰りが可能です。
Q. アルバイトや副業状態でも融資は通る?
A. 通る可能性はありますが、「どれだけ本気で取り組むか」が重視されます。事業に割ける時間、サポート体制、収支見込みを丁寧に記載しましょう。
Q. どれだけ借りればいいか分かりません
A. 「借りられるだけ借りる」は危険です。必要額+3ヶ月分の運転資金を上限に、返済可能な範囲で調整しましょう。
まとめ:数字を味方にするカフェ経営を
カフェ開業は「情熱×計画性」で初めて成功へと近づきます。
「なんとかなる」ではなく、「どうすれば続けられるか?」を逆算して考えることが大切です。
融資は“借金”ではなく、未来の事業を支える資源。その視点で計画を立てることで、開業後の安心感が大きく変わります。
迷ったときは、専門家のサポートや実績あるスクールを活用しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
次回予告:第15回は「開業前にやるべき“集客準備”とは?」
オープン初日からお客様が来るカフェは、裏での準備がすでに始まっています。
次回は、SNS・地域連携・プレオープン活用など、開業前にやっておくべき集客の具体策をご紹介します!