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第24回:リピーターをつくる接客術

第21回「リピーターを生むカフェの接客・サービスの基本」では、多くの方から「実際に取り入れやすかった」「すぐに使える内容だった」とご好評をいただきました。
そこで今回の第24回では、さらに一歩踏み込み、“常連客を増やすための接客術”を深掘りします。
お客様の記憶に残り、また来たいと思わせるための「進化した接客のコツ」を具体例と共にご紹介します。

なぜ「常連客づくり」が経営を支えるのか

新規集客に力を入れることはもちろん大切ですが、それだけでは売上は安定しません。
米国の調査によると、新規顧客獲得のコストは既存顧客維持の約5倍かかるといわれています。
さらに、顧客維持率を5%改善するだけで、利益は25〜95%も増加する可能性があるとされています。
つまり「常連客=リピーター」を増やすことこそが、カフェ経営を持続的に成長させる最大の鍵なのです。

接客術① 名前と好みを覚える「記憶の力」

「◯◯さん、今日はいつものカフェラテにされますか?」
この一言が生む安心感は、どんな広告よりも強力です。お客様は「覚えてもらえた」ことで、自分の存在が尊重されたと感じます。
さらに、名前や飲み物だけでなく「よく座る席」「甘いものが好き」など細やかな好みを記憶すると、接客は一段と際立ちます。

接客術② 短い会話で「居心地」をデザインする

接客の会話は長ければ良いというものではありません。
むしろ「短いけれど温かい一言」の方が印象に残ります。
「今日は冷えますね」「お仕事帰りですか?」そんな一言が、お客様にとって店を“居場所”に変える力を持っています。

とある消費者調査では「心地よい体験を提供する店は、価格が高くても選び続けたい」と回答した人が73%に上りました。
つまり、たった一言の声かけが「価格」よりも大きな価値を生むのです。

接客術③ 感謝を「言葉+仕組み」で伝える

「本日もありがとうございます」この一言があるかないかで、お客様の印象は大きく変わります。
加えて、スタンプカードやクーポンなどの仕組みを通じて感謝を可視化することで、「自分は歓迎されている」と実感していただけます。
さらに、誕生日にメッセージを送る、新作メニューを常連限定で先行提供するなど、小さな特別感を演出することでリピーターは“ファン”へと進化します。

  • 常連客限定の裏メニュー
  • 季節ごとの「先行試飲サービス」
  • 誕生日や記念日に合わせた一言カード

接客術④ 「特別扱い」がファンをつくる

リピーターからさらに一歩進んで“ファン”へと進化してもらうには「特別扱い」が有効です。
「この前おすすめしたケーキ、いかがでしたか?」
「今日から始まった新作を一番に召し上がってください」
こうした一言が、お客様の心に深く残り、店への愛着を強めます。
ファン化したお客様は、家族や友人を連れて再来店し、口コミで店を広めてくれる存在となるのです。

まとめ:積み重ねが信頼を育てる

リピーターをつくる接客術は特別なスキルではなく、小さな積み重ねの連続です。
「覚えている」「一言の会話」「感謝の仕組み」「特別扱い」――この4つを意識して実践することで、カフェは“また行きたい場所”へと変わります。
21回目で触れた基本を踏まえつつ、今回の進化形の接客術を加えることで、常連客はさらに増え、カフェの未来はより安定していくでしょう。


次回予告:「小さなカフェが地域に愛される理由—2025年のカフェ業界動向」

次回は、大手やSNS映えを狙うだけではなく、「地域に根差した小さな強み」を磨くことが生き残りのカギであることを解説いたします。

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▶前回(第23回)記事はこちら:https://online.cafeslife.jp/blog/cafe-event-menu/