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第27回:カフェメニュー開発の新潮流 ― 健康志向・プラントベース・アレルギー対応

カフェズライフのカフェ開業講座|実践型カフェスクールのブログ

「映え」から「こころとからだ」に寄り添うカフェへ

ここ数年、カフェのメニュー開発は大きな転換期を迎えています。かつては写真映えや話題性が重視されていましたが、いま求められているのは、“心地よさ”と“やさしさ”
食べたあとに罪悪感を残さず、体も気持ちも満たされる。そんな“ウェルネス系カフェ”が、全国的に増えています。

背景には、コロナ以降の健康志向の高まりや、サステナブルな価値観の浸透があります。消費者は「何を食べるか」だけでなく、「どういう想いで作られたか」に共感して選ぶようになりました。

① 健康志向メニュー ― “足し算”ではなく“引き算”の美学

「無添加」「低糖」「グルテンフリー」などのキーワードは、もはや一部の人のものではありません。
特に30〜50代女性や働く世代の間で、“自然で優しい味”への支持が広がっています。
健康志向メニューのポイントは、何かを足すのではなく、余計なものを引くこと。素材の声をそのまま生かす発想です。

たとえば白砂糖をてんさい糖に、牛乳を豆乳やオーツミルクに変えるだけでも印象は大きく変わります。
「身体にいい」だけではなく、「おいしくて続けられる」ことが大切。味のバランスと健康感の両立が、常連づくりの要になります。

② プラントベース ― 新しい“おいしさの定義”をつくる

プラントベース(植物由来)は、健康のためだけでなく、“地球にやさしい選択”としても注目されています。
肉や乳製品を完全に排除する「ヴィーガン」ではなく、誰でも取り入れやすい“ライトプラントベース”が人気です。

大豆ミートのタコライス、オートミルクのカフェラテ、ココナッツオイルを使った焼き菓子。
そんなメニューが「ヘルシーなのに満足感がある」と話題を呼んでいます。特にZ世代を中心に、味・見た目・社会性の3拍子がそろったメニューが支持されています。

重要なのは「制限」ではなく「多様性」。おいしさの基準が一つではない時代に、“誰もが楽しめるカフェ”が共感を生んでいます。

③ アレルギー対応と「やさしい設計」

アレルギー対応や原材料表示の丁寧さも、カフェに求められる新しいスタンダードになっています。
卵・乳・小麦などを使わないスイーツや、ナッツを除いたドリンクなど、「安心して選べるメニュー」が喜ばれています。

こうした配慮は、特別な層だけのためではありません。食の安全に敏感な親子世代、健康意識の高いビジネス層、外国人観光客にとっても重要な指標です。
店側が「気づいて配慮してくれている」と伝わることで、カフェの信頼とブランド力が上がります。

④ これからのカフェに求められる“物語性”

メニュー開発の本質は、単なるトレンドの追従ではなく、「どんな想いを伝えたいか」にあります。
素材にこだわる理由、生産者とのつながり、食を通じて届けたい体験――そのストーリーが伝わるほど、ファンは深く共感します。

たとえば、地域の農家と連携した季節限定スムージーや、廃棄される食材を使ったアップサイクルスイーツ。
そこに「誰かを思う姿勢」があるだけで、お客様の記憶に残るメニューになります。

まとめ:やさしさと信念が、未来のカフェをつくる

健康志向やプラントベース、アレルギー対応。これらはすべて「誰かを想う」カフェの姿勢から生まれるものです。
トレンドに流されず、自分の哲学をもったメニューづくりこそが、長く愛されるお店の条件。
食を通じて人を癒し、街を元気にする――そんな新しいカフェ文化が、すでに始まっています。

次回予告:第28回は「SNSで広がる“カフェのブランド力”戦略」

次回は、InstagramやTikTokを活用して「ファンに愛されるブランド」をつくる方法を紹介します。
写真の見せ方、投稿リズム、ストーリー設計など、実践的なSNSブランディングのコツをお届けします。

 
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