カフェを続けていると、
「自分の店の強みって何だろう?」
「他の店と何が違うんだろう?」
そんなふうに立ち止まる瞬間が、必ずやってきます。
実はこの悩みは、とても健全なサインです。
それだけ、お店を“長く続けたい”と本気で考えている証拠だからです。
ただ一つ知っておいてほしいのは、
強みが“ない”カフェは、ほとんど存在しないということ。
多くの場合、
強みは「ない」のではなく、
見えていないだけ・言葉になっていないだけなのです。
今回は、
「売れるカフェ」ではなく
「愛され続けるカフェ」の強みを見つける考え方を、やさしく整理していきます。
「強み」と聞くと、こんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
もちろん、これらも立派な強みです。
ですが、地域で長く続いているカフェを見てみると、
必ずしも“派手な武器”を持っているわけではないことも多いのです。
本当の強みとは、
「お客さまが理由をつけて通い続けてくれる要素」。
そんな“日常に溶け込んだ価値”こそが、
長く続くカフェの強みです。
ここで、よくあるズレのお話を。
店主が考える強みと、
お客さまが感じている強みは、
実は食い違っていることが少なくありません。
たとえば、
店主:
「うちはコーヒーにこだわっています」
お客さま:
「なんとなく落ち着くから来ています」
あるいは、
店主:
「自家製スイーツが売りです」
お客さま:
「店主と話すと元気になれるから来ています」
どちらが正しい・間違っているではなく、
強みは“選ばれている理由”の中に表れるということ。
自分の想いよりも、
「なぜこの店を選んだのか」という結果のほうが、
強みを教えてくれます。

ここからは、
強みを見つけるための具体的な視点を3つご紹介します。
強みは、
「入口(来店理由)」に隠れていることが多いのです。
「便利」「安心」「ちょうどいい」
こうした言葉になりにくい価値が、
実は大きな強みであることも少なくありません。
この問いを立てると、
自分では当たり前すぎて見逃していた価値が、
はっきりと浮かび上がってきます。
強みが見えてくると、
「もっと広げよう」「もっと増やそう」と考えがちです。
ですが、実はここに落とし穴があります。
結果として、
もともとの良さが薄まってしまうことも多いのです。
強みを活かすとは、
という選択でもあります。
愛され続けるカフェには、ある共通点があります。
たとえば、
派手ではないけれど、
人の中で生き続ける強みです。
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強みは、一度見つけたら終わりではありません。
だからこそ、
定期的に立ち止まって振り返り、
「今の強みは何だろう?」と問い直し、
小さく調整し続けることが大切です。
この積み重ねが、
無理のない経営と、長く続く関係性をつくっていきます。
Cafe’s LIFE の卒業生カフェも、
「最初から強みが明確だった店」
「途中で方向性を変えた店」
「地域との関係の中で育っていった店」
それぞれが、自分たちなりの強みを見つけ、磨いてきました。
卒業生カフェ紹介サイト「Cafe no WA(カフェの輪)」では、
開業後のリアルな変化、強みが定まるまでの試行錯誤、数字では測れない価値に触れることができます。
一人で悩まず、
誰かのストーリーからヒントをもらう場所として、ぜひ覗いてみてください。
強みは、新しくつくるものではありません。
すでにあるものに気づき、
静かに、大切に育てていくものです。
大きくなくていい。
派手でなくていい。
あなたらしくていい。
「愛され続けるカフェ」は、
自分たちの強みを、ちゃんと理解しているカフェです。
次回は「“この店、なんかいいよね”を言語化する方法」をお届けします。
感覚で伝わっている魅力を、
どう言葉にし、メニューや空間、発信に落とし込むのか。
“伝わる強み”に変えていくための、具体的なヒントを解説していきます。